DUCATIの最新モデル「ディアベル1260 S」
自動車やバイク好きな方にとって「イタリア車」と耳にするだけでどこかワクワクしてくる気持ちになる人も多いのではないでしょうか。エンジン、足回り、デザインなど、他のメーカーにはないイタリア車ならではの魅力は確かに存在します。
なぜ人々は、これほどまでにイタリア車に魅力を感じるのでしょうか。今回は、DUCATIの最新モデルである「ディアベル1260 S」を紹介しつつ、その魅力を深堀りしていきたいと思います。これからDUCATIのバイクを購入しようと検討している方はもちろんですが、国産メーカーのバイクに飽きた方もぜひ参考にしてみてください。
DUCATIから新たに登場した「メガモンスター」バイク
DUCATIといえば真っ先にモンスターを連想する方も多いはず。2019年6月に発表されたディアベル1260 Sは、そんなモンスターシリーズを拡張させたような「メガモンスター」というコンセプトのもとで開発されました。
スポーツタイプ寄りのネイキッドであるモンスターシリーズのテイストはそのままに、そこにクルーザーとしてのダイナミックさも加えられた斬新なモデルといえる1台です。
もともとディアベルは2011年に発売された初代モデルがありましたが、今回のモデルは2代目にあたります。初代モデルから実に8割以上にも及ぶ変更が加えられ、フルモデルチェンジのうえ発売されました。初代モデルは低重心のアメリカンに近いクルーザータイプ寄りのバイクでしたが、今回の2代目モデルはモンスターシリーズのスポーティーさも加えられています。
象徴的なのは、その外観にあります。せり上がったリアのテール、ボリューム感満点の燃料タンクにいたるまで、随所にスポーツバイクらしさが感じられる1台となっています。しかし一方で、実際にディアベル1260 Sに跨ってみるとクルーザーらしさを体感することができます。低い重心とシート高、そして計算しつくされたハンドルバーは運転のしやすさにこだわった仕様になっており、計算されつくされたエルゴノミクスは初代ディアベルからしっかりと継承されているポイントといえるでしょう。
このように、ディアベル1260は初代ディアベルで培ってきたバイク作りの技術を結集したモデルとなっています。
ディアベル1260 Sのスペック
ディアベル1260 SにはL型2気筒エンジンが搭載されており、排気量は1262cc。最高出力159ps/9,500rpm、最大トルク13.1kg-m/7,500rpmを発揮します。車重は244kgあり、これはクルーザーとしては軽量であり、スポーツバイクを意識して作られていることの証といえるでしょう。
足回りを見てみると、オーリンズ製フォークとショックアブソーバー、ブレンボ製ブレーキキャリパー、そしてリアには240mmという極太のタイヤが装着されており、走りの安定感は抜群。特筆すべき点としては、路面からタイヤに伝わってくる独特の感覚です。欧州車らしい少し固めの設定によって、スポーティーな走りが強く意識されているバイクであることは間違いありません。
クルーザーらしいロー&ロングの車格でありながらも、乗り味としては欧州車らしいスポーティーさが特徴で、足回りが固めに設定されているのがディアベル1260 Sの最大の特徴といえます。
初代ディアベルに比べてシート高は上がっていますが、そもそもクルーザーを意識されていたこともあり、足つき性は抜群に良いです。身長160cmほどの小柄な男性が乗っても十分足つきは良く、楽なライディング姿勢で長時間のクルージングも可能になります。
欧州車は比較的大柄な車体が多く、足つきに苦労する日本人ライダーも少なくないと思いますが、DUCATIの世界観はそのままに乗りやすさも確保されている点はディアベル1260 Sが日本国内でこれほどまでに高い人気を誇る最大の理由ともいえるでしょう。
ディアベル1260 Sの乗り味は?
ディアベル1260 Sは車重244kg、リアには240mmの極太タイヤが装着されているということもあり、スポーツ性を意識されて作られたとはいえ、乗り味や操縦性は実際のところどうなのか気になるところです。
基本的にディアベル1260 Sの乗り心地としては、多くのスポーツバイクのようなハイパワーで凶暴な性質のようなものを感じることはありません。比較的穏やかで優しい乗り心地がベースとなっており、特に低回転域から中回転域での力強さが感じられます。
一方で、コーナリングなどに差し掛かると軽快なハンドリングでクルーザー特有の車体の重さを感じさせることがありません。240mmのリアタイヤの存在も忘れるほど高い操縦性を確保しており、これは今までのバイクになかった新しい感覚といえるでしょう。むしろ極太タイヤによって路面との接地面積が大きくなっており、より安定感を増してコーナリングを攻略できるのではないかと思うほど。
ディアベル1260 Sは一見すると「ゴリゴリのマッチョなネイキッド」としてクルーザー色が強いバイクと見られがちで、走りの特性もクルーザーを想像してしまいますが、実際に乗ってみると想像以上にスポーティです。直線ではクルーザーのような安定感のある走りが得られる一方で、コーナリングに差し掛かった途端にスポーツバイクの一面が顔を覗かせる、そんな多面性のあるバイクと言っても過言ではありません。
しかし、あくまでもベースはクルーザーの乗り心地。スポーツバイクのテイストがあるからといって、決して暴力的で凶暴な乗り味ではありません。実際にそのような走りをしようとしても、ディアベル1260 Sはすぐにトラクションコントロールが発動します。これは高いトルクを誇るからの仕組みといえるでしょう。
ちなみに、これほどまでに大柄なバイクとなるとコーナリング走行時の安定性も気になるところです。ディアベル1260 Sは重心がライダーと近いため、人馬一体ならぬ人車一体となって走る感覚があり、安定感は抜群。初めて大型バイクに乗る人にとっても乗りやすいのではないでしょうか。
コーナリングを走行する際にも、ぴったりとライダーとバイクが一体となる感覚で安定します。ハイパワーなスポーツバイクにありがちな、バイクに引っ張られているような不安感に襲われることもなく安心です。
ディアベル1260 Sをおすすめしたいライダーは?
ここまでディアベル1260 Sの特徴やスペック、乗り味を解説してきましたが、これらを踏まえて実際にどのようなライダーにおすすめなのか紹介していきましょう。特にこれから大型バイクの購入を検討している方や、輸入バイクの購入を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
小柄なライダー
ディアベル1260 Sはシート高780mmと輸入バイクとしては低めの設定となっています。国産ネイキッドと同程度のシート高で乗りやすさは抜群で、小柄なライダーであっても簡単に乗りこなすことができるでしょう。
また、輸入バイクといえばシート高のほかにもシートとハンドルの位置が離れすぎていて運転しづらいのではないかといった懸念をする方も多いです。ディアベル1260 Sの場合はクルーザーがベースとなっているため、何よりも楽な姿勢で運転しやすいのが最大の特徴。
ハンドルを握る腕がギリギリで窮屈な姿勢を強いられる心配もありません。登場して間もないバイクのため、ディーラーには展示車や試乗車も用意されているはずなので、ぜひ一度またがってみて乗り心地を確かめてみてください。
輸入バイクとは思えないほど体にフィットするポジションに驚く方も多いはずです。
初めて輸入バイクに乗るライダー
これも小柄なライダーと同様の理由ですが、輸入バイクは国産バイクとは大きく異なり、車体サイズや実際にまたがった際の感覚が自分の体に合わない方もいます。当然のことながら欧米人向けに開発されているため、比較的小柄な日本人にとっては乗りづらいと感じるケースも多いようです。
しかし、ディアベル1260 Sはそんな日本人にとっても自然なライディングポジションが取りやすく、難なく乗りこなせるほど快適です。クルーザーがベースとなっているだけに車体の安定感も抜群で、停車時にバランスを崩して転倒するリスクも低いでしょう。
日本人にとって癖のあるバイクが多い輸入車において、特に乗りやすい1台といえます。
アメリカンにパワー不足を感じているライダー
クルーザーの代表格であるアメリカンタイプのバイク。ロー&ロングな車格は見た目にもゴージャスで華やかですが、唯一の課題となるのがパワー不足です。もともとアメリカンはスポーツバイクのようにスピードを求めるバイクではないことは分かっているものの、高速道路や郊外の道路においては爽快な走りを楽しみたくなることもあります。
そんなときにおすすめなのが、このディアベル1260 S。クルーザーとしての安定感とスポーツバイクとしてのパワーがバランス良く配分されており、まさに両者のいいとこ取りのような1台です。
悪い言い方をすれば中途半端な印象を持つ方もいるかもしれませんが、実際の公道を走行する場面においてはちょうど良いバランスで、実用性に優れたモデルといえるでしょう。実際に長距離のライディングにおいてパワー不足や扱いづらいといった不満を持つ場面もほとんどないはずです。
国産400ccクラスのアメリカンはもちろん、ハーレーダビッドソンのようなリッタークラスのアメリカンから乗り換えてもパワーバランスで不満を感じることは少ないでしょう。
DUCATIファンのライダー
ディアベルシリーズはこれまでのDUCATI製のバイクとは一線を画した斬新なモデルです。長年にわたってDUCATIに乗り続けてきたファンにとっても、新鮮な感動を与えてくれることでしょう。
スポーツネイキッドが主流であったDUCATIですが、新たにクルーザーという一面が加わったことによってバイクの楽しみも増えてくるはずです。これまで何度も走った道路も、ディアベル1260 Sで走ってみることで新たな発見が生まれるかもしれません。
新たな時代に向けて生まれ変わったディアベル1260 Sをぜひ一度体験してみてはいかがでしょうか。
バイク作りは新たな時代へ
これまでバイクの歴史はさまざまな変遷を経てきました。日本でも一般的であったネイキッドやオフロードから、ストリートファイターやマルチパーパスなど新たなジャンルのバイクが誕生し、一方でストリートやクラシック系のバイクも長年にわたって愛され続けています。
今回紹介したディアベル1260 Sは、クルーザーとスポーツバイクという一見両極にあるバイクを見事に融合したモデルといえます。ここから新しいバイクの潮流が生まれる可能性もあり、今後も注目しておきたい1台です。
人とは違うバイクに乗ってみたい方、これまでなかった新たなコンセプトのバイクに乗ってみたい方にもおすすめです。ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
フリーランスライター3年目。
ドラッグスターに乗りたくてバイク免許を取得しました。現在はドラッグスタークラシック400を所有。
元大手通信会社に勤務していましたが、その後フリーランスに転身。現在はバイク関連の記事のほかにもAIやIoTなども手掛けています。
2019年9月7日 12:00 PM |カテゴリー:バイク関連最新NEWS