DUCATI 916の25周年記念モデル「パニガーレV4 25°アニバーサリオ916」の日本導入が正式決定
これまでのバイクの歴史のなかでもっとも美しいモデルとも言われているDUCATI 916。1994年に華々しいデビューを飾ってから、その後1998年まで販売されたスーパースポーツです。そんなDUCATI 916のデビュー25周年を記念し、DUCATIは「パニガーレV4 25°アニバーサリオ916」を日本国内に限定500台で導入することを正式決定しました。今回は、非常に希少価値の高いパニガーレV4 25°アニバーサリオ916について詳しく解説していきます。
パニガーレV4 25°アニバーサリオ916の基本スペック
パニガーレV4 25°アニバーサリオ916は、2019年7月13日にアメリカ カリフォルニア州のペブルビーチにおいて発表されました。世界でわずか500台のみの生産となり、各車体にはシリアル番号が付与される予定となっています。
エンジンは車種の名前にある通り90°のV4エンジンが搭載され、排気量は1,103cc。最高出力214PS/13,000rpm、最大トルクは12.6kgm/10,000rpmを発揮します。通常とは逆方向に回転するカウンターロテーティングクランクシャフトを搭載し、これは他社のメーカーには見られないDUCATI唯一無二のエンジンです。
車重はわずか173kgと大型バイクにしては圧倒的な軽さを誇り、走行モード切り替えやBOSCH製のコーナリングABS EVO、トラクションコントロール、横滑り防止装置など安全装備も充実。
足回りにはフロント、リアともにオーリンズ製のショックやサスペンションが採用され、ブレンボ製の大径ディスクブレーキも装備。サスペンションは電子制御となっています。
価格は税込みで4,890,000円で、2019年12月に発売を予定しています。
そもそもDUCATI 916とはどんなバイクだった?
パニガーレV4 25°アニバーサリオ916はDUCATI 916の25周年を記念して開発されたバイクですが、そもそもDUCATI 916とはどのようなバイクだったのでしょうか。若い世代の方や最近バイクに乗り始めた方、輸入車に詳しくない方にとっては初めて耳にする方も多いと思うので、まずはDUCATI 916の詳しい解説をしていきましょう。
そもそもDUCATI 916とは1994年から1998年までの4年間にわたって販売されていたモデルで、エンジンは水冷4サイクルL型2気筒の916cc。最高出力114PS/9.000rpm、最大トルク9.0kg-m/7,000rpm。冒頭にも簡単に紹介したように、長いバイクの歴史のなかでももっとも美しいバイクとして注目を集めました。
赤で統一された全身のカラーはまさにイタリアのスーパーカーを彷彿とさせるデザインで、フルカウルにはDUCATIのロゴが大きく光ります。さらにはシャープなフロントマスクに平目の形をしたヘッドライトがスーパーカーのイメージを増幅させています。
もともとヨーロッパのスポーツバイクはレースにおける戦績が販売台数に大きく影響を及ぼす傾向が強いものです。DUCATIは1990年代初頭にスーパーバイク世界選手権で首位を独走していたのですが、ついに1993年にカワサキにその座を奪われてしまいます。そこで、それまで販売していた888というモデルの後継車種としてDUCATI 916が開発されたという経緯があります。
そのため、DUCATI 916は単にデザインが優れたバイクというだけではなく、走りの性能も非常に高い1台でもあるのです。旧来のモデルよりも徹底的な軽量化を図り、それは現在のDUCATIのバイク作りにも通じる重要なコンセプトとなりました。
パニガーレV4 25°アニバーサリオ916の外観デザインの特徴
ここからはパニガーレV4 25°アニバーサリオ916に隠されたデザインについて特徴的なポイントをいくつか紹介していきましょう。
まず目を惹くのは、大きく後方にせり出したリアテールではないでしょうか。燃料タンクよりも若干高い位置まで跳ね上げられたテールは、後ろから見たときに中が空洞状になっているのが分かります。これによってデザイン面においての躍動感を演出するとともに空力抵抗にも配慮された設計となっています。フロントマスクはやはりDUCATI 916を彷彿とさせるシャープなデザインが特徴的で、一目見ただけでそのイメージが湧いてきます。
外観デザインのなかでもっとも気になるのが、車体側面に印字された「1」の数字ではないでしょうか。これはかつてDUCATIが世界選手権を制したチャンピオンの「1」を表しており、1990年代初頭に栄華を誇ったDUCATIの歴史を再び取り戻そうという姿勢の表れでもあります。
そして、DUCATIのバイクといえばダイヤモンドタンクが象徴的な存在として挙げられます。バイクにまたがったときにタンクを抱え込むような姿勢となり、同時に体にフィットすることでバンクさせやすい形状となっています。スポーツバイクには欠かせない人車一体となる感覚を実現するために必要なテクノロジーといえるでしょう。
パニガーレV4 25°アニバーサリオ916の専用装備
パニガーレV4 25°アニバーサリオ916は数多くの専用装備が与えられています。
ベースとなっているモデルはパニガーレV4 Sという車種で、鍛造マグネシウム製のレース仕様のホイール、公道走行に対応したチタニウム製のエキゾーストなどが装備。さらにはカーボン素材やアルミニウム素材なども多用され、パニガーレV4 Sに比べて1kgの軽量化が図られています。
具体的な一例を挙げてみると、カーボンファイバー製のフロント・リアフェンダー、ヒールガード、スイングアームカバー、ステアリングヘッドに刻印されるシリアル番号、パニガーレV4 25°アニバーサリオ916専用のカラーリング、レーシング仕様のハンドグリップなど、挙げるときりがないほどです。
ちなみに、パニガーレV4 25°アニバーサリオ916専用の付属品として専用のバイクカバーや「Shell」、「Foggy」のロゴステッカー、ナンバープレートホルダーの取り外しカバー、レーシング仕様のタンクキャップ、カーボンファイバー製クラッチカバーなども標準で付いてきます。
パニガーレV4 25°アニバーサリオ916軽量化の秘密
パニガーレV4 25°アニバーサリオ916は乾燥重量173kgという非常に軽量な車重を実現していますが、なぜここまでの軽量化が可能になったのでしょうか。そこにはさまざまな要因がありますが、なかでももっとも軽量化に貢献しているのがフレームにあります。
バイクのフレームというのは車体そのものの剛性を決定付ける非常に重要なパーツです。いわば骨組みであり、フレームが脆弱だとバイクが安定して走行することができず危険を伴います。ましてやパニガーレV4 25°アニバーサリオ916の場合はサーキット走行にも耐えうる仕様にしなければならず、車体の剛性は通常のバイクよりも高いものが求められます。
フレームの大幅な軽量化と高剛性。この相反する2つの事柄を、パニガーレV4 25°アニバーサリオ916は高い次元で両立することが求められました。
材質はアルミニウム素材を使用していますが、鍛造によって大幅に剛性を高めています。極限まで無駄な部分を削り、非常に薄いフレームでありながらも高剛性を実現することに成功。フロント部分のフレームはステアリングヘッドからエンジンのシリンダーヘッドまでをカバーし、全体的に最小限かつ高い性能を維持できるサイズに留められていることが分かります。
極限までフレームの見直しを図った結果、フロントフレームは実にわずか4kgという非常に軽量なものに仕上げることに成功しました。通常、バイクのなかでもある程度の重量のあるパーツとして知られるフレームをこれほどまでに軽量化できたのは、パニガーレV4 25°アニバーサリオ916の動力性能を大幅に引き上げることにも大きく貢献しているといえるでしょう。
もちろん、このほかにもチタニウム製、カーボンファイバー製のパーツを多用していることも軽量化に貢献していることは言うまでもありません。
パニガーレV4 25°アニバーサリオ916に採用されている最新システム
パニガーレV4 25°アニバーサリオ916は従来のバイク作りの基本であるパーツやエンジンの改良だけではなく、最新鋭のシステムも多用されていることが注目すべきポイントです。
一例を挙げると、「BOSCH製コーナリングABS EVO」、トラクションコントロール、スライドコントロール、ウィリーコントロール、電子制御サスペンションなど、ほかにもさまざまなシステムが採用されています。
今やスポーツバイクに欠かせない存在となったトラクションコントロールは、「DUCATIトラクションコントロールEVO2」と名付けられ、この先のパワーコントロールを予測して制御することによってコーナリングの攻略を行います。これまでバイクの制御系システムは「起こったことに対する制御」という考え方が基本でしたが、人間のようにこれからどうなるかを予測しながら自動的に制御することによって、他のモデルにはない高次元での走りを楽しむことが可能になるはずです。
これは速さを求めるうえで有効なのはもちろんですが、コーナリングにおけるホイールスピンを制御し安全性にも大きく貢献していることがポイントです。実際にDUCATIの実験によって、コーナリングでのスリップ量は従来のシステムに比べて減少している傾向があることが分かっています。
DUCATIの歴史に名を刻むパニガーレV4 25°アニバーサリオ916
稀代の名車DUCATI 916の登場25周年を記念して発売されるパニガーレV4 25°アニバーサリオ916。DUCATIのもつ技術の粋を結集して造られたバイクといっても過言ではなく、今回紹介したポイント以外にも数多くの装備やシステム、パーツが採用されています。
まさにDUCATIファンにとっては垂涎のモデルであり、コレクターズアイテムとなることでしょう。近年になってフラッグシップモデルにはレース仕様の公道走行不可のものが登場することも増えてきていますが、パニガーレV4 25°アニバーサリオ916は公道走行にも対応していることが嬉しいポイントといえるでしょう。当然のことながら489万円という価格は簡単に手を出せるものではありませんが、限定500台ということでプレミアがつくことは必至です。
DUCATIファンの方もそれ以外の方にとっても、あらゆるバイクファンにとってパニガーレV4 25°アニバーサリオ916は要注目のモデルになることは間違いありません。
フリーランスライター3年目。
ドラッグスターに乗りたくてバイク免許を取得しました。現在はドラッグスタークラシック400を所有。
元大手通信会社に勤務していましたが、その後フリーランスに転身。現在はバイク関連の記事のほかにもAIやIoTなども手掛けています。
2019年9月8日 12:00 PM |カテゴリー:バイク関連最新NEWS
待ちに待った「新型KATANA(カタナ)」をドドンと紹介! モンキー125!いつでもどこでも手軽に乗れるバイクと駐車場について