ドゥカティ・コルセがレースにIoTを活用する理由とは?

AI(人工知能)やIoTといったテクノロジーは私たちの生活のなかに続々と浸透してきています。家電製品や情報デバイス、さらには自動車の自動運転技術などが代表的な事例として挙げられますが、実はバイク業界においても採用されはじめていることをご存知でしょうか。
イタリアのバイクメーカーとして有名なドゥカティは、バイクレースにおいて積極的にAIやIoTの技術を活用しています。今回は、ドゥカティのレース部門においてAIやIoTがどのように利用されているのか、その事例を具体的に紹介していきます。
ドカティ駐車場2

ドゥカティ・コルセが挑むバイクレースへのAI・IoTの活用法

ドゥカティというバイクメーカーにはレースを専門に扱う「ドゥカティ・コルセ」という子会社があります。これまで「ロードレース世界選手権(MotoGP)」、「スーパーバイク世界選手権(SBK)」などへのレース参戦歴があり、2010年以降はスーパーバイク世界選手権(SBK)への参戦は終了したもののロードレース世界選手権(MotoGP)への出場は継続されています。
今回、ドゥカティ・コルセが最新テクノロジーを駆使してレース用バイクを開発したのは、このスーパーバイク世界選手権(MotoGP)に向けたものとなります。ドゥカティ・コルセには研究・開発部門、競技部門、商業活動部門、そしてマーケティング・情報部門という4つの部門が存在しますが、主にテクノロジーやマシンの開発を担当している研究・開発部門においてAIやIoTの活用は研究されています。
また、もともとバイクメーカーであるドゥカティだけではAIやIoTといった最新テクノロジーの知見は不足しているため、「アクセンチュア・アナリティクス」をデジタルパートナーとして迎え入れたうえで開発を行っています。
ドゥカティ・コルセとアクセンチュア・アナリティクスは、レース用バイクを開発するテスト段階においてどのような各種パーツのセッティングによってどのような変化が見られるかを予測するシステムを開発。このシステムにはIoTとAIの技術が活用されており、テストを繰り返していくことによってAIのディープラーニングによって予測精度が向上していきます。
どのような素材、大きさ、特性のパーツを装着するとタイムが縮まるのかといったことは、これまで実際にテストを実施して検証してみないと分からないものでした。しかし、ドゥカティ・コルセとアクセンチュア・アナリティクスが開発した分析エンジンを活用することによって、テストにかかるコストや時間の削減に大いに貢献します。

IoTが可能にしたバイクの詳細データ取得

レースで使用されるバイクは、一般的なバイクとは異なり過酷な環境のなかでの走行が求められます。たとえば時速30kmで走行する一般道と時速100km/hで走行する高速道路では、当然のことながら風の影響を受けるレベルも異なり、より高い安全性が求められることはイメージしやすいと思います。
レースにおいては、さらに過酷な環境であると同時にスピードも追求しなければなりません。走行中にエンジンの温度はどの程度まで上昇しているのか、ブレーキをはじめとした足回りの温度はどう変化し、十分な制動力は発揮できるのか、バイク全体にかかる振動や風圧などによって外装パーツにどの程度の力が加わってくるのかなど、収集すべきデータは膨大にあります。
これらのデータは当然のことながら走行中に収集することが難しく、これまでのレース用マシンの開発においては実際にテストコースを走らせてみて検証することが前提となっていました。しかし、これらのテスト手法の常識を覆すことになったのがIoTのテクノロジーです。
そもそもIoTとは小さなセンサーを取り付け、さまざまなデータを取得するという技術です。一般的な活用用途としては、ドアの開閉センサーや温度データ、音声データなどを通してあらゆる状態を取得します。ドゥカティ・コルセとアクセンチュア・アナリティクスが開発した分析センサーは、このIoTの仕組みを応用しドゥカティのテスト用バイクに100個を超えるIoTセンサーを装着。通常のテストデータと照合しながら、より精度の高い分析を可能にしています。
さらにはAIの機械学習を活用すると、マシンのセッティングによってレースの順位がどのように変化するかを予測・シミュレーションすることもでき、レースを繰り返していくうちにこの精度も高まっていくはずです。
このような仕組みは、これまでの既存のバイク作りの技術だけでは対応できなかったものです。IoTという新たな技術の登場によって実現可能になったものであることは間違いありません。

IoTを活用するメリット

レース用マシンの開発にIoTを活用することによって、どのようなメリットがもたらされるのでしょうか。
テストの際にIoTセンサーが取得するデータは、エンジンの回転数、車速、タイヤ内の温度、ブレーキの温度などが挙げられます。特にタイヤやブレーキといった足回りの温度は目視だけで確認することはできず、走行中にどのような変化が起こっているのかを確認することは簡単なことではありません。
IoTのセンサーを足回り周辺に取り付けることによって、従来では計測が難しかったこれらのデータも十分活用できるようになります
また、これらのデータは天候やロードコンディションによっても大きく左右されるもの。悪天候時にはどのようなセッティングが有効であるのか、エンジンにかかる負担なども考慮しながら最大限のパフォーマンスが発揮できるセッティングを知ることができます。
また、これらのデータはレースで実際に走行するライダーにとっても重要な判断材料になるでしょう。ブレーキングやハンドリング、加速によってバイクの状態はどのように変化しているのか、走行中はなかなか詳細なデータを把握することができません。レーサーの多くは長年の経験や勘によって高い運転技術を身につけていますが、IoTセンサーを有効的に活用することによって科学的な検証が進み、より高度な運転技術を効率的に身につけることにつながるはずです。

レースの最中にも活用できるIoTセンサーのデータ

IoT活用のもうひとつのポイントとしては、テスト時だけではなくレースの最中にも活用できると考えられていることです。レースのコースを走行中において、タイヤや足回りの温度、エンジンの状態などをリアルタイムで把握することができるようになると、メカニック的なトラブルを未然に防ぐことにもつながります。
天候やロードコンディションなど、その時々で変化するマシンの状態を見極め、ギリギリまで耐えうるパワーを引き出すことによって圧倒的な強さを発揮できるかもしれません。ちなみに、ロードレース世界選手権(MotoGP)をはじめとしてほとんどのレースではこのようなシステムの活用について明確なルール化はされていないですが、これが現実的になるとレースを観戦する側にとっても見応えのレース展開が期待できます。
さらにはレース中に起こる不幸な事故を未然に防ぐことにも役立てられ、安全性と高いパフォーマンスの両立にも貢献することでしょう。
このように、バイクレースに最新のAI、IoTテクノロジーを活用することはレースを観戦する側にとっても大きなメリットを与えてくれると考えられます。

ドゥカティ・コルセとアクセンチュア・アナリティクスが開発した分析ツールの特徴

ドゥカティ・コルセとアクセンチュア・アナリティクスが共同で開発した分析ツールは、これまで4,000を超えるレーストラックと30以上のレースシナリオの分析を実施しています。これはあくまでも途中の段階に過ぎず、今後さらに多くのレースやテストに活用していく予定としています。
両社が開発した分析ツールはPC上に表示されるダッシュボードで一元的に管理され、一目で見やすい仕様になっています。アクセンチュア・アナリティクスが公開したダッシュボードのスクリーンショットには、「速度」「回転数」「ガソリン残量」「ハンドル角度」「ギア」「ブレーキ温度」「タイヤ温度」が数値化され、さらにはレーストラック内の現在地、走行中の映像なども表示されるようになっています。
いずれのデータもIoTセンサーから取得されるデータを瞬時にクラウドで処理し、人間が理解しやすい情報へと随時変換してくれるため非常に実用的です。
ダッシュボードだけを見ると、まるでアーケードゲームを連想させるレイアウトで、バイクのスピードメーターがリアルタイムで表示されているような感覚になります。このダッシュボードのデータをレース観戦に活用すれば、従来のレース観戦の常識までも覆すことになるでしょう。

AIやIoTの活用によってバイクレースはどう変わる?

ドゥカティ・コルセとアクセンチュア・アナリティクスが開発した分析エンジンは非常に高度で実用的なものです。このツールを今後活用することによって、バイクレースはどのように変化していくのでしょうか。いくつか考えられることをまとめてみました。

各バイクメーカーのレース部門の活性化

従来のような純粋なバイクメーカーとしてではなく、IoTやAIを活用するハイテク分野にも強い企業に成長することになります。バイクや自動車という乗り物は、必ずしもエンジンのパワーだけに依存するものではありません。さまざまなパーツやバイクそのものの形状、重さなど複合的な要因がレースにおける強さにつながっていきます。
しかし、より強いチームを作ろうとすると当然のことながらコストもかさんでしまい、思うようにレースで活躍できないメーカーも少なくありません。IoTやAIといったテクノロジーによって効率的なテストが可能になると、バイクメーカーのレース部門においても再び開発競争が盛り上がっていくはずです。
新たな分野だからこそ、バイクメーカーのノウハウとテクノロジーのノウハウをもったメーカーの総合力が試されることになります。

バイクレース観客数の増加

バイクレースは間近で観戦すると迫力があり、そのスピードに圧倒されますが、テレビなどの映像で見るとその魅力は半減してしまいます。バイクまたはライダーにカメラを搭載し、IoTで取得されたデータとともにダッシュボードの画面を多くの観客に共有できるようになるとレースの見方も180°変わるかもしれません。
レーサー目線の映像は普段私たちが味わうことのできない、まさに非現実的なバーチャル空間と化し、これまでレースに興味のなかった人たちを魅了することになるはずです。

革新的なバイクの開発

バイクレースが盛り上がりバイクそのものの魅力見直されるようになると、市販のバイクについても革新的な製品が登場してくるかもしれません。バイクレースで活躍したモデルをベースに開発され、その後名車となることも少なくありません。
排ガス規制やバイク人口の低迷など、バイク業界は年々下降を辿っているイメージがつきものですが、AIやIoTといったハイテクの活用によって復活の道が見えてくるかもしれません。

ドカティ駐車場をさがしのにあたって

ドゥカティの駐車については注意が必要です、バイク全般盗難の問題がありますが
ドゥカティについては、車両盗難以外にパーツ泥棒が多くされる車両として注意が必要です。
下手すれば3ナンバーの中古車が変えるぐらいの車両ですので、探しても見つからないなどお困りの場合は是非パークDOをご利用下さい。
ちなみに盗難が多いモンキー駐車場については当サイトが非常に多くのお客様がご利用をしていただいております。